薬の専門家である薬剤師資格を取得するためには、大学で6年薬学を学習した後、薬剤師国家試験に合格する必要があります。この記事では、薬剤師となるために必要な薬剤師資格の難易度についてご紹介します。
薬剤師資格の取得難易度は?
薬剤師資格を取得するための薬剤師国家資格試験は、毎年2月に行われています。試験の合格率は近年60%代となっており、難易度は高めといえます。
2024(令和6)年の薬剤師国家試験合格者は68.43%。2019(令和元)年までは合格率が70%を超えることも少なくありませんでしたが、2020(令和2)年以降、薬剤師国家資格取得者は7割に満たない状況が続いています。
試験の難易度が高い理由としては下記が考えられます。
- 試験問題の幅広さ
試験には必須問題と一般問題があり、必須問題は「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「法規・制度・倫理」「実務」の科目に分けられています。また、一般問題は「薬学理論問題」と「薬学実践問題」の科目に分けられています。近年、思考力・応用力・総合的な問題解決能力を問う問題が増えていることも、難易度が高い一因と考えられます。 - 合格基準
薬剤師国家試験は平均点・標準偏差を用いた相対基準を用いるため、その年の問題によって合格基準が変化します。また、全問題の得点が420点以上・必須問題の得点が70%、科目得点がそれぞれ30%以上・禁忌肢問題選択数2問以下(第109回)という基準を満たす必要があります。禁忌肢の選択数が2問以上になると、他科目で高得点を取っていても不合格になります。
薬剤師資格の難易度が高い理由はほかにも
薬剤師資格の取得難易度が高い理由は、薬剤師国家試験だけではありません。大学薬学部の進級・卒業の難しさも難易度が上がる要因の一つになっています。
薬剤師国家試験を受験するためには、まず大学で6年間薬学を学び卒業しなければなりません。薬剤師法でも「6年制薬学課程を修め卒業した者(※厚生労働省・薬剤師法第15条)」と定められています。
しかし、カリキュラムは多岐にわたるうえ定期試験が難しく、留年者も他学部に比べて多いといわれています。卒業が薬剤師国家試験の受験資格となるため、卒業試験に合格できなければ留年になります。薬剤師資格は国家試験だけでなく、学習中も多くのハードルを越えねばならないのです。
薬剤師資格取得のために
薬剤師資格の取得難易度は高めです。幅広い分野から出題される薬剤師国家試験の合格はもちろんですが、大学薬学部での進級・卒業も簡単なことではありません。大学在学中からしっかりスケジュールを立て、資格取得を目指しましょう。