薬剤師の資格を取得するためには、厚労省が毎年主催する国家試験に合格しなければなりません。薬剤師国家試験は、さまざまな国家試験のなかでも難関の一つとされています。これから薬剤師を目指す人のなかには、どの程度の難易度なのか知りたい、という人も多いでしょう。
この記事では、薬剤師国家試験の難易度や難関とされている理由について詳しく解説します。
受験者数と合格者数はどれくらい?
まずは、実際の数字を見てみましょう。厚生労働省の発表によると、薬学部が6年生に移行した2012年度における受験者の数は約1万人でしたが、その後はほぼ1000人ずつ増え続け、2016年度には約1万5000人になっています。その後、受験者数が少し減ったものの、2021年度には約1万4000人が受験しています。
合格率は、年度によってさまざまです。2012年度の合格率は88.31%でしたが、2014年度には60.84%まで落ち込みました。2018年度以降は70%前後で落ち着いています。なお、男女の比率は毎年同程度で、女性のほうが男性よりも1.4〜1.5倍ほど多いです。
薬剤師国家試験が難関とされている理由
合格率70%であれはそれほど難関でもないのではないか、と感じる人もいるかもしれません。それでも薬剤師試験が難関とされているのには、いくつか理由があります。
まず挙げられるのは、薬剤師国家試験を受けるためには大学の薬学部に入学しなければならないことです。誰でも受験できるわけではありません。薬学部に入ってからも、進学や卒業まで高いハードルが設けられています。さらに、現役で合格を目指すのであれば、薬剤師国家試験の前に大学の卒業試験に合格しなければなりません。こうした学生生活との両立の困難さが、試験の難易度を高めている理由の一つといえるでしょう。
出題範囲の広さも難易度が高いとされている理由です。薬剤師国家試験の出題範囲は、物理・化学・生物のほか、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務の7科目です。科目を越えた設問も増加傾向にあるため、どの科目もおろそかにはできません。さらに、実践力や応用力を問う問題が増えてきており、ただ暗記するだけでは対応できなくなってきています。
まとめ
受験までのハードルが高く、出題範囲も幅広い薬剤師国家試験ですが、しっかりと勉強できていれば合格できないわけではありません。実際、7割近くの受験者は試験に合格しています。大切なことはまず薬学部に入学することであり、入学後は進学や卒業、試験合格まで計画的にスケジュールを立てて勉強することです。