2021年に厚生労働省は、少なく見積もっても、2045年には薬剤師が2万4,000人の過剰になると試算しています。努力して取得した薬剤師資格を無駄にしないためにも、薬剤師は自己研鑽を積まなければなりません。この記事では、薬剤師がスキルアップできる2つの資格を紹介しています。資格は、自身の知識やスキルを客観的に証明するのに有効です。
幅広く、最新の情報を持つことが証明できる研修認定薬剤師
研修認定薬剤師は公益財団法人 日本薬剤師研修センター(以下、研修センター)が認定する資格です。研修認定薬剤師になると倫理や医療薬学、薬事関連の法規や制度などについて幅広い知識があることが認められます。3年ごとに更新申請が必要になるため、最新の医療情報を持っていることが証明されます。
この資格を得るには、実施要項に記載された研修実施機関で規定時間数の研修を受け、必要な単位を取得することが必要です。講師が指導するので、自助努力だけに頼らずスキルアップができます。
2016年には「かかりつけ薬剤師制度」もスタートしました。患者が指名することで、毎回同じ薬剤師に担当してもらえる制度ですが、「かかりつけ薬剤師指導料」を診療報酬として請求するには、研修認定薬剤師の設置が必須です。そのため研修認定薬剤師の需要は、今後も見込めると考えられます。
がんの化学治療のスペシャリスト、がん専門薬剤師
がん専門薬剤師は、一般社団法人 日本医療薬学会(以下、学会)が認定する資格です。取得すると、がんの薬物療法などでの高度な知識やスキル、臨床経験を持っていることが証明できます。
学会の規定によると申請の要件は、薬剤師としての5年以上の実務経験や、所定の単位の履修など11項目におよびます。研修認定薬剤師などの認定も、申請要件に含まれています。認定には規定の細則で定められた、認定申請資格を証明する書類が必要です。認定審査に通ると、認定試験の受験資格が得られます。合格すると認定証が交付され、名簿に登録されます。認定の期間は5年で、5年ごとに更新が必要です。
抗がん剤を使う化学治療は、一般的な薬剤療法とは異なります。毒性の強い薬を、全身症状や副作用の発現の異なる患者に投与するため、画一的な治療では十分な効果が得られません。がん専門薬剤師はがん薬物療法に特化した知識とスキルで、個々の患者の健康や日常生活の質の向上に貢献します。2人に1人はがんにかかるといわれる時代において、がん専門薬剤師のニーズは今後も高まると予想されます。
まとめ
厚生労働省は、薬剤師の供給は需要を上回ると試算しました。いつまでも必要とされる薬剤師でいるためには、スキルアップが必須です。薬剤師のスキルアップに役立つ資格には研修認定薬剤師や、がん専門薬剤師などがあります。どちらも難易度の高い資格ですが、取得すれば、それだけ信頼度も上がります。